自然災害にソナエル
~ 津波が予測される時に発表される情報、津波警報 ~
MOSSA11号は、防災についてのセミナーや研修などで、内閣府や気象庁、自治体防災担当の方のお話を聴くことがあります。
その中には、非常に有効な情報がたくさんありますので、いくつかご紹介できればと思います。
地震に関係する災害への備えとして、緊急地震速報、南海トラフ地震、そして津波とは何かについてご紹介しました。
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今回は、津波が予測されるときに発表される情報についてです。
海域で大きな地震が発生した時、気象庁は地震のマグニチュードや位置をすぐに推定し、これらをもとに沿岸で予想される津波の高さを求め、大津波警報、津波警報または津波注意報を発表します。
●平成23年東北地方太平洋沖地震での津波警報の課題
途轍もない被害をもたらした平成23年東北地方太平洋沖地震による津波。
気象庁は、この津波に対する津波警報の発表などについて、4つの課題を上げました。
1.巨大地震の正確なマグニチュードをすぐに計算できず、過小なマグニチュードとなってしまった。
(最終的なマグニチュード9.0に対し、最初の計算ではマグニチュード7.9)
2.過小なマグニチュードをもとにした津波の高さの予想(津波の高さ3mなど)が、「防潮堤を超えるような津波ではない」と思わせてしまった。
3.巨大な津波であることをすぐに推定できず、警報で知らせるのに約30分かかってしまった。
4.津波の観測データ「第1波0.2m」などを見聞きし、「大したことない」と思わせてしまった。
マグニチュードが1大きくなると、地震のエネルギーは約30倍!(正確には31.6倍)
地震によって引き起こされる津波の規模も、桁違いに大きくなります。
このように、津波の予測には、地震のマグニチュードの正確な計算が不可欠ですが、現在の技術レベルでは、巨大地震のマグニチュードの計算には、どんなに頑張っても最低15分ほどかかるとのこと。
さらに、東北地方太平洋沖地震では、マグニチュード計算のための地震計が振り切れてしまい、さらに時間がかかってしまいました。
これらの課題を解決するための新しい津波警報が、平成25年3月から気象庁において運用されています
●平成23年東北地方太平洋沖地震を踏まえた津波警報の改善
1.巨大地震でも振り切れない地震計を新たに整備し、地震発生から15分で安定して巨大地震のマグニチュードを計算できるようにします。
15分までは、巨大地震特有の地震波をモニターし、計算したマグニチュードが過小なものではないかどうかを判定します。
2.15分までに、巨大地震特有の地震波を検出し計算したマグニチュードが過小と判定されれば、地震が発生した海域での最大規模の津波の高さを想定します。(例えば南海トラフ地震であれば、東海沖~四国沖までの全域で巨大地震が発生した場合の津波の高さ)
そして、巨大地震の正確なマグニチュードにもとづく津波の高さが計算されるまでは、3mなどの数字ではなく、「巨大」な津波という表現でお知らせします。
気象庁HP 津波警報の改善のポイント より
3.GPS波浪計や、沖合の海底津波計のデータから、津波の高さを推定し、お知らせします。
また、地震発生から15分後に計算された巨大地震の正確なマグニチュードをもとに、津波の高さを予測し、お知らせします。
気象庁HP 津波警報の改善のポイント より
4.巨大な津波が予測される場合、あとから来る津波の方が高くなることがあるので、「第1波0.2m」などの観測データを最大波と誤解しないように、津波を数値ではなく「観測中」とお知らせします。
気象庁HP 津波警報の改善のポイント より
●津波警報の分類
これらの改善を行い、津波警報は次のように発表されます。
気象庁HP 津波警報の改善のポイント より
「大津波警報」で、津波の高さが「巨大」と発表された場合が、最も危険です。
東日本大震災クラス、あるいはそれを超える巨大な津波が予測されていることになります。
直ちに、出き得る限りの避難行動を取る必要があります。
津波は、局所的に予想より高くなる場合がありますので、より高い場所を目指して避難する必要があります。
また、津波は長い時間くり返し襲ってきますので、警報が解除されるまで避難を続ける必要があります。
沿岸部で地震による強い揺れを感じたら、即座に避難する意識をもって、日頃から、災害への備えを心がけましょう!